居ながらにして小笠原観光が楽しめるというテレイグジスタンス体験に参加してきました。
テレイグジスタンス株式会社、JTB, KDDIが小笠原の観光振興に協力して開催されたこの実験、なんと応募者が500名以上で主催者側もびっくりするほどの注目度だったとか。
場所は竹芝桟橋の客船ターミナルの奥。船の発着時刻表などを横目に見ながら、島嶼部に行くわくわくが高まってきます。
会場に到着。前の人がウミガメと戯れているのが目に入って来ます。
思わず写真を撮って、受付しようとすると「、、あの。お客様のご予約、明日ではございませんか、、」
ガーン。。日付間違ってる。。なすすべもなく退場。
気を取り直して、翌日。
今日に間違いありません。バーチャルリアリティ-VRと異なり、画面の先に自分の分身ロボットがいて、遠隔操作(マスタースレイブ)するテレイグジスタンスの場合、手や姿勢の動きを検知するセンサーも必要なため、装備も物々しくなります。
甲冑を着ける前の武士の気分。
手袋には位置確度検知のセンサーと、触覚を与えるため洗濯ばさみのような指先アクチュエーターもついています。
ヘッドセットを装着して。
椅子の四隅には手、胴体、頭の位置や動きを検知するセンサーが配備。2人がかり(うち1人はテレイグジスタンスの社長 富岡氏!)で装着して頂くのは、さながら部下に鎧を着けさせる、戦の前の武士の気分。
キャリブレーションして、準備。
ん?テレビの向こうの景色は、どこかのお店の店内。ウミガメはどこへ…
なんとこの日の体験は、JA小笠原の農産物直売所での特産物デモンストレーション。勝手にウミガメや小笠原のワイルドな自然を想像してワクワクしていた私は正直若干、海missになりましたが、お姉さんにスターフルーツや、小笠原の檸檬サイダーの説明をして貰いながら、小笠原ならではの食材にちょっと詳しくなりました。
テレイグの難しさは、見えている視界の向こうが、首の可動域などロボットのハードウェアの制約+通信速度の遅れ、に依存して脳の認識とタイミング/振れ幅の違う動きをすること。バーチャルリアリティ(VR)よりも酔い感は強い印象です。特に、お店のお姉さんとのコミュニケーションの場面では、お互いに聞こえている事を相手に伝えようとして、頷いたり首をかしげたりするものの、伝わらず、もどかしくて大きなアクションをしようとして気持ち悪くなってしまいました。現時点では人と相対するよりも、動物、自然や景色を愛でる方が向いているのかもしれません。
もう一つ気になったのは、遠隔観光体験というアプリケーションをする際の工夫。食べ物の紹介の場合には、テレイグでは食べ物を認識するのに使える五感が視覚・聴覚・触覚に限られるため、お店の人がどんなに美味しそうに説明してくれても、どうしてもわくわく感が不足しがち。遠隔でお店とやりとりしながらも、体験者側に食べ物のサンプルが置いてあって、匂いや味(触覚も)こちら側で楽しめるとより没入感が増す機がしました。
とはいえ、24時間かけて小笠原に行くより圧倒的にお手軽(?)な遠隔観光体験は、「興味はあるけど、躊躇しがち」な小笠原という立地の妙と十二分にマッチして、あり得るエンターテイメントだと思いました。今度機会があったら、ウミガメと戯れたいです。