ロボットだけのレストラン体験 – Cuisine and Robots: A new way of introducing tech into food.


A new initiative by Kawasaki Corporation and Sonoyama tests the integration of robots with different purposes for a common service: cooking for people.

2022年4月27日、ロボットレストラン「AI_SCAPE」を訪問しました。羽田イノベーションシティにあるこのレストランでは、15台のロボットが協調してサービスや調理を行っています。

羽田イノベーションシティの一角にあるレストランは、川崎重工業のラボを兼ねているそう

使われているロボットと人間との関わり方

川崎重工業と飲食店向けコンサルタントの園山真希絵氏プロデュースしたこのレストランではスマートフォンで注文した3種類の食事をロボットが提供してくれます。来店されたお客様の案内係の人間が入り口にいるほかは、作業はすべてロボットで行われています。店内は4つのテーブルに分かれていて、両腕のロボットウェイター「Nyokkey(にょっきー)」が接客してくれるようです。

4つのテーブルがあり、完全にロボットが接客してくれます。

注文が入ると、キッチンで複数のアームロボットが動き始めるのが目に入ります。飲み物を用意してくれるのは別のブース内にあるアームロボット。注文した飲み物を受け取るには、ブース前に移動して、携帯の画面に表示されるQRコードを読み取らせる必要があるのですが、ロボットがブース内に置かれたディスペンサーのボタンを押してコップを運んでくれる一連の動作を見ていると、据え置きディスペンサーのボタンをを自分で押す方が速いし、お店の人もディスペンサーの中身の補充が楽なのでは、などという考えが頭をよぎります。

QRコードを表示すると透明ブース内のロボットが動き出します

Nyokkeyは10分前後でお皿を運んで来ます。一度に一人分しか運んで来れないため、複数人のグループだった隣のテーブルへの配膳は少し時間がかかっているようでした。トレーの上には3つのカップに入った料理とお箸が置かれています。トレイの返却や、ロボットに問題があった場合など人間の介入が必要なプロセスはあるものの、キッチンの調理ロボットと配膳ロボットのスムーズな連携によって、サービス全体が没入感のある体験に仕上がっていると感じました。今回の試みは、人とロボットがそれぞれに出来る事を役割分担して出来るサービスを提供している点で、興味深いものでした。

配膳ロボットNyokkey(画面右)が、厨房から注文を受ける役割を担う別のロボットからトレイを受け取るところ

レストランの未来

人手不足やパンデミックの影響で無人化・非接触サービス化が進む飲食業界。AI_SCAPEは、食事の準備やテーブルへの配膳など、オペレーションに必要なサービスを全て自動化する試みとなっています。

最初はロボットだらけという驚きやものめずらしさにお客様が満足していても、そうした驚きは時間と共に薄れてくるもの。こうしたロボットレストランが当たり前になる日も遠くはないでしょう。純粋なレストランとしての評価として考えるとどうでしょうか。

4台のロボットは、用意されたトレイを厨房から持ってくる役割を担っている

料理の味はおいしいけれど、筆者(30代の成人男性)には量が物足りなく感じました。自然素材のカップとカトラリーは環境に優しく良い感じですが、蓋がされていて画一的で、器や彩りを楽しむ側面は失われています。本格的なレストランでの運用を考えるとしたら、さまざまな量やサイズの食事に対応できる開発が必要でしょう。もちろんファーストフード店やファミリーレストランなど、ある程度標準化されたメニューのあるところであれば、料理の配膳や保温などの作業を軽減することで、スタッフの負荷を減らすことができそうです。

開発者にとってAI_SCAPEは、一緒にロボットとサービスの融合を研究する良い実験場です。また訪れる私たちにとっても、どんな場面で、どんな条件でロボットが役に立つのか、どんな点が満足できて、どこがいまいちか、など自分とロボットサービスとの望ましい関わり方を体験を通じて考える機会となります。社会に溶け込んだロボットの開発を考えるために、この場をきっかけに様々な対話が生まれることを期待したいです。

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